声のものさし
校長 佐藤 賢志
本郷台中は今年度から先生方が小学校におじゃまし、授業の様子を参観させていただくという、新しい取り組みを始めました。小学校と連携した取り組みといいますと、体験入学、学校説明会、生徒会役員による小学校訪問などは今までもやっていたわけですが、なぜか先生方が小学校を訪問するということをやっていませんでした。昨年度、本郷台中の先生方の中から、小学校に行ってみたいという声が上がりました。もちろん、本郷台中の授業改善が目的です。
そこで早速校内で検討し、本郷小学校と湯島小学校に、それぞれ1年交替でお願いしようということになりました。訪問するのは年に1回だけです。昨年度のうちに、本郷小の松本絵美子校長先生にお願いしましたところ、快諾していただきました。そこで、本郷台中の副校長と教務主幹が本郷小におじゃまし、松本校長先生と直接お会いして、打ち合わせをさせていただきました。そして、1学期の定期考査の初日に訪問させていただく段取りになりました。実施日は6月26日(木)です。今回は本郷小の4校時と5校時の授業を公開していただきました。
本郷台中の内部の調整は、研修主任が当たりました。今回は初めてということもあり、授業参観の後に協議会という形はとらずに、本郷台中の研修委員会が、授業参観についてのアンケート調査を行い、まとめたものを本郷小の松本校長先生にお渡しすることになりました。将来的には協議会を設けたり、あるいは小学校の先生方に中学校の授業を見ていただくことができたら、よりよい小中連携ができるものと期待しているところです。
さてこの時、私は何をしていたかといいますと、1年生から3年生までの授業を見させていただきました。1年生というのは、本当にかわいいですね。もうほとんど、私は孫の姿を見るおじいちゃんの目つきになっておりました。次に2年生の教室に移りました。児童たちは先生の問いかけに、積極的に手を挙げて、はきはきと答えておりました。そんな中で、先生の問いかけに答えたある児童の声が、先生にはちょっと聞き取りにくかったのですね。その先生はすかさず「3の声で言ってね」とおっしゃったんですね。聞いていた私は、「ん、3の声ってなんだ?」と思った瞬間、その児童は大きな声ではっきりと答えました。「そうか、先生は声の大きさを指示したのか」と、その時初めて分かりました。そして、教室内を見回したところ、前面黒板の上にちゃんと表示してありました。それは次のような内容でした。
『声のものさし』 0:しずかに 1:となり 2:はん 3:クラス 4:学年 5:全校 というように6段階で示してありました。その場面に応じて、声の大きさを加減するという指導を、全校でなさっていたのですね。先生の声のレベルに対する指示も的確でしたが、それを聞き入れて、さっと声のレベルを切り替えた児童も立派でした。数年前からこの指導を1年生から6年生まで、全学年で取り組まれておられるとのことでした。しかも、答えるときはきちんと立って答えておりました。ところが、私は何度か本郷小におじゃましているのに、こういう取り組みをされていることに気がつきませんでした。6年間で答える態度や、発表する態度を育てていく、まさに「継続は力なり」ですね。
だからといって、感心ばかりしていられません。翻って本郷台中を見た場合、せっかく、小学校で指導してきたことを、中学校で途絶えさせていないか、という反省の気持ちも湧いてきました。あと、印象的だったことは、本郷小の先生方の優しい語り口と、温かい笑顔でした。
来年度は、湯島小学校におじゃまさせていただくことになっています。こういう取り組みをやられている学校は他にもあると思いますが、本郷台中にとっては初めての取り組みです。小学校とも綿密に連絡をとりながら、大事に育てていこうと考えています。しかし他にも多くの小学校から本郷台中に入学していますので、他の小学校とはどうするのか、ということが課題になります。でもそのへんはご容赦をいただき、しばらくは本郷小と湯島小にお願いして、継続していく予定です。本郷小の松本校長先生はじめ、教職員の皆様、ありがとうございました。